ディベートとディスカッションの違い-9つ

「議論をすること」を表す言葉として、「ディベート」と「ディスカッション」があります。さて、あなたはそれぞれの意味と明確な違いを理解して、人に説明できるでしょうか?

議論=ディベート、ディスカッション

■ディスカッション

[名](スル)討論。討議。議論。「方針についてディスカッションする」「パネルディスカッション」

コトバンク

 

■ディベート

一定のテーマについて、賛否二つのグループに分かれて行われる討論。

コトバンク

コトバンクさんの定義に従うなら、ディスカッションは一般的な「討論」「討議」「議論」なのに対して、ディベートはテーマと賛否の二つのグループに分かれる、という縛りがあります。

ディスカッションとディベートのポイントを切り分けるのは大きく分けて2つです。

ディベートとディスカッションの違いは2つ

  • 賛否のテーマがあること
  • 必ず賛否のグループに分かれること

この2つの条件が成立をしてはじめてディベートになります。この記事では、ディベートとディスカッションを比較しながら見ていきたいと思います。

違い1.賛否のテーマがあること

ディベートには、必ず賛成/反対で意見が割れるテーマが用意されています。対して、ディスカッションには、賛否の縛りは必ずしも必要ではありません。

1.教育系のテーマ

rawpixel / Pixabay

ディスカッション系のテーマ
  1. 日本の教育をどのように改革するべきか?
  2. 各国と比較をして日本の教育には何が足りないか?
  3. 英語教育を向上させるために、今何が必要か?
ディベートへ置き換え
  1. 文部省は、ひとクラス担任の教師を2任制にするべきである
  2. 日本政府は、教科書を紙からタブレットに変更するべきである
  3. ●●大学は、推薦入試の枠を2倍に増やすべきである

いかがでしょうか?

ディスカッションに比べてディベートのほうが議論をする対象を絞っていることに気づくかと思います。

ディスカッション系のテーマ

  • 方向性が決まっている
  • 自由に意見が出せる
ディベート系のテーマ

  • 意見対立が前提
  • 賛成するか、反対するかのみ

例えば、1の日本の教育をどのように改革するべきか?というテーマは、日本の教育を改革することを前提としています。現状維持でも構わないという選択肢は案外と用意されていません。

そもそも改革は必要なのか?と考える余地ないわけです。

では、ディベートのテーマはどうか?立場や議論をする内容が全て具体的に設計されています。

  • 誰の立場で議論をするのか?
  • 何をするべきなのか?するべきでないのか?

などが事前に決められていて、その枠内で賛成側(肯定側)と反対側(否定側)に分かれて議論をすることになります。

以下のテーマですね。

  1. 文部省は、ひとクラス担任の教師を2任制にするべきである
  2. 日本政府は、教科書を紙からタブレットに変更するべきである
  3. W稲田大学は、推薦入試の枠を2倍に増やすべきである

主語、動詞、目的語で構成されています。このような設計にしたほうが、誰が何の目的で何について議論をするか?がわかりやすいからです。そして、「~べき」形式にすることで、是非がつけやすくなります。

2.働き方・労働改革系のテーマ

ディスカッション系のテーマ
  1. これからはどんな働き方が求められるか?
  2. 日本人の働き方は変えるんはどうしたらよいか?
  3. 日本の雇用制度を改革するべきか?
ディベートへ置き換え
  1. 日本政府は、ホワイトカラーエグゼンプションを導入するべきか?
  2. 日本政府は、正規雇用者の転職を推進させるための雇用政策を実施するべきである
  3. 日本政府は、解雇規制を緩和するべきである

先ほどの教育系のテーマと考え方は同じです。社会人の方にディベートを教えると、今の日本の働き方や雇用制度についてのリクエストが多いため、掲載してました。労働問題に解いては、以下3つのポイントを抑えるとディベートがしやすいと思います。

  1. 実際にテーマが実行されたと仮定して労働者がどうなるか?を想像してみる
  2. 事業者(企業、その他非営利法人など)が、テーマ実行後にどのように対処するか?を考えてみる
  3. 上記2つを総合的に加味して、社会全体がどうなるか?それが政府にとって望ましいのか?を考える

など、様々な立場にたって物事を考えてみるとよいでしょう。

例えば、ホワイトカラーエグゼンプション(高プロ人材、年俸制)は、世論的にはブラック企業の温床だと叫ばれています。しかし、その世「論」の声に論理はあるでしょうか?何となくそうなるだろう?と思われていることがほとんどです。

ホワイトカラーエグゼンプション(高プロ人材、年俸制)をテーマにディベートをすると、このような論理展開をすることもできます。

高プロ人材、年俸制であるある

  • 既に、過重労働、低賃金、残業手当なしの職場で働いている労働者にとっては、時間拘束がなくなり、また最低賃金が保証されるため救われる。
  • テーマ実行後は、事業者側もキチンとホワイトカラーエグゼンプションの制度に基づいた契約を結ばなければならないため、どこまで違法で合法化が明確になる
  • テーマ実施後に、職場が劣悪なら、労働者は必ず転職をする。(9:00~18:00の拘束ができなくなるため、労働者はいつでも転職活動ができるようになる)

ディベートだからこそできる真逆の視点から物事を検証する方法ですね。

もちろん、このような真逆論を立証させるには、キチンとロジックを組む必要があります。

ディスカッションはどうしても周りの雰囲気や世間一般の常識や考えなどに従って空気を読みながら自分の意見を言わなければ批判されてしまいますが、ディベートの場合はロジックさえ組めれば何を言ってもOKな自由度があります。そもそも競っているのが、意見や主張そのものではなく、その意見や主張を支えているロジックの精度だからです。

ディスカッションでもロジックは必要ではないのか?
個人的に考えておりますが、いざ参加をするとどうしても空気を読んだり、周りに波長を合わせる必要は出てきますね。これは経験論です。

堀江貴文さんやひろゆきさんのように徹底的にロジックで考えるタイプには向いていますが、相手の理由も聞かずに主張だけを聴いて反射的にかみついたりする人や本当に怒鳴ってくる人もいるので、そこら辺は慎重に言葉を選んでいつも話しています。

違い2.必ず賛否のグループに分かれること

ディスカッションとディベートの決定的な違いは、ディスカッションは各自が好きに意見を言えるのに対して、ディベートは必ず賛成と反対の2グループに分かれなければならないことです。

ディベートはポジショントークである

ポジショントークとは、自分の意見や考えではなく、特定の立場にたって意見を言うことです。

例えば、あなたが解雇規制緩和に賛成であっても、反対側の立場につけば反対側の意見を論じる必要があります。ディベートの場合、賛成チームと反対チームを決めておいて、どのような切り口や論理で賛成(反対)をしていくのか?その説得力を競っているからです。主張こそたくさんしますが、自己主張はできないないのです。

これを私たちの身の回りで表すと、あなたはi.Phoneが大好きだとします。しかし、Androidを販売している事業所で働けば、個人の好き嫌いに関係なく、Androidを売り込まなければなりません。同時に、i.Phoneよりも、Androidが優れていることを消費者に訴える必要があります。もちろん、逆もしかりです。

ディスカッションはフリースタイル

対して、ディスカッションは意外とフリースタイルです。途中で意見や考えを変更しても構いません。これは私もよくやります。相手の考えのほうが自分の考えよりも説得力があると判断したら、スグに相手の議論に同調します。すごく調子いい奴と思われるかもしれませんが、自分の意見に拘っていないだけです。

そもそもディスカッションは、相手を論破する場ではなく、みんなの意見をまとめてひとつの結論にまとめていくのが望ましい姿です。たくさんの意見を出す場でもないんですね。そこらへんはブレストで終わらせておいたほうがよいですかね。

以上が、ディベートとディスカッションの大きな違いでした。

さて、ここからもう少し踏み込んでいきたいと思います。即興ディベートワークショップや巷のディベート団体が行っている競技ディベート&ゲームディベートに基いてディスカッションとディベートの違いを解説していきますね。

違い3.自由討論vsタイムテーブル縛り

ディスカッションは自由に討論ができるの対して、ディベートは事前に発表する時間、順番、そして役割がかっちりと決められています。そして、そのタイムテーブルを順守することはマストです。

時間と順番は順守!好き勝手に手をあげて発言はできない

ディスカッションは手をあげて発言をする、もしくは好きなタイミングで発言をします。対して、ディベートは、タイムテーブルに従ってゲームを進めていきます。自分のスピーチた無になったら、発表をしなければなりません。そうしないと負けちゃいます。

発表中は黙って聞くこと

ディベートの試合では、選手がスピーチをしているときは原則黙って聞かなければなりません。

相手の発表中に横やりやヤジを入れることはルール違反とみなされます。国会答弁では、発表中に平気でヤジを飛ばす議員がいますが、ディベートの世界では完全アウトです。(もちろん、国会答弁はディベートではないので、ヤジを飛ばそうが、避難しようが自由です。威圧するのはやめたほうがいいと思いますが・・・)

裁判では、「意義あり」が通用しますが、ディベートの試合中は「意義あり」すらいえません。意義があれば、それは次のスピーチで反論をすればよいと考えられているからです。

誰が言ったか?ではなく何を言ったか!が大事

世間や社会の常識だと、何を言うかではなく誰が言ったかのほうが尊重されます。こればかりは個人の影響力がものをいう世界なのですからね。ここに文句を言うつもりはありません。

対して、ディベートの試合では、何を言ったか?どのように論じたか?どれだけ掘り下げて説明したか?のほうが重要視されます。たとえ、大学の教授が「私は●●大学の教授なのだから、私の意見のほうが正しいに決まっているだろ!」と主張しても、学生のほうがキチンと議論ができていると判断したら、みんなはその学生さんに投票するでしょう。

社会的権威や個人のネームバリューはディベートには持ち込めません。

では、ディスカッションではどうか?社会的権威や個人のネームバリューを持ち込むのは全然OKだと思います。理由はカンタン。そのようなお決まりがないからです。そして、私自身もディスカッションの最中に、私は「●●社の代表ですが・・・」なんていわれるとたじろぐわけです。創業してからサラリーマン時代以上に権威にひれ伏すこの頃です。

※備考:私の中の最強の権威は、代表取締役やコンサルタントではなく、プログラマーや技術者です。20代は、優秀なエンジニアの背中を見てきて育ってきたためです。余談でした。失礼。

違い4.ディスカッションはまとめる&ディベートは「勝つ」

ディスカッションは、みんなの意見を統合させてひとつの結論を導き出していきます。対して、ディベートは勝敗がある以上、試合に勝ってナンボの世界です。この違いを端的に表すなら、ディスカッションは「まとめる」、ディベートは「選んでもらう」になります。

では、もう少し掘り下げて説明しますね。

ディスカッションは「まとめる」

「まとめる」とはどういうことか?というとみんなで意見を出し合いながら、最後に結論を下さなければならないということです。例えば、「日本の教育をどのように改革するべきか」というテーマでディスカッションをするなら、必ずなんらかひとつやふたつでも「こうするべきだ」という結論を出さなければなりません。

ディスカッションでよくある失敗
「色々な意見が出ました」
「ひとりひとり考え方や価値観が違うことに気づきました」が結論になった場合。
 ▼
 結局まとまらなかった!が結論
 ▼
 新卒のグループディスカッションで全員落とされることもある。

お金を払ってまでそのディスカッションにもう一度参加をしたいか?で考えればよいかと思います。

会社の企画会議に例えるとわかりやすいですね。色々なアイディアは出たけれど、何一つまとまらず次回に持ち越し。これが長く続くとします。この場合、そこに参加をした人の時給×時間×回数分の人件費が発生します。

例えるなら、時給3000円の正社員5人が2時間の会議を3回の会議を行うとすると、トータルで90,000円のコストになります。これと同じロジックで、結論のない議論ほど無駄なものはないという判断を下せるわけです。

※もちろん、その会議を通じて従業員同士の情報共有がなされたり、チームワークが深めることが目的なら、それはよいことです。

ディベートは「選んでもらう」

ディスカッションと比べてディベートは非常にシンプルです。自分たちの議論を最後まで押し通して、その議論がいかに相手の議論よりも優れているかを第三者に伝えて表を勝ち取るだけですから。

ディベートの場では物凄くディスカッションをする

ここまで読んでくださりありがとうございました。一応、私はディベートの講師ですが、即興ディベートワークショップではディベートよりもディスカッションのほうをメインで行っている感があります。その理由は、ディベートの試合をするためには以下3つのディスカッションを絶えずすることになるからです。

  • どんなテーマ、形式でディベートをするか?決める
  • チーム内で戦略を組むときのグループディスカッション
  • 試合終了後に今回の試合を元にディスカッションをする

ディベート論者の中には、ディスカッションを批判する人もいます。かつての私もそうでしたが、いざ自分でディベート講座を開くようになってからは、参加者や協力者とのディスカッションの日々ですかね。みんなロジックベースでディスカッションに臨んでくれるため、個人的には取り組みやすいですね。

本当にありがとうござます。

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